なぞのしたごころ
仕事が終わってバックに入ると、店長がツインさんに映画のチケットを渡していた。
その日がツインさんの誕生日だったらしく、店長の誕生日も近いので、今度ツインさんが店長に同じ日取りの映画チケットを渡すらしい。
店長は二人で攻殻機動隊の映画を観に行くと言って、上機嫌だった。
ツインさんと一緒の帰り道で、彼女は「冗談だと思ってた」とこぼした。
うちの店は1年前に店長が変わった。
前の店長がろくに仕事もせず、従業員にセクハラや嫌がらせをするクズだったらしい。
その店長に気に入られてセクハラされていたのがツインさんである。
ツインさんの先輩♀はクズ店長のことが好きだったらしく、クズ店長が着服した店のお金を立て替えるほどだった。ツインさんはそのことで先輩に失望したらしい。
ツインさんは体調に異常を来すほどセクハラに参っていたらしいが、周囲の女子は「なによあの子だけチヤホヤされて」みたいな雰囲気だったらしい。
当時の店はクズ店長とツインさんと先輩♀の三角関係でドロドロのグチャグチャになり、潰されたということだ。
という経緯を経て今の状況に至るに、ツインさんは店長と恋仲になるのを恐れているらしい。ということを話して、私にも一緒に映画に行こうと誘ってきた。
これは私一人が付いて行ってもなんとかなるようなものなのだろうか。
そう思ったので他にも何人か連れて行きましょうと言ったが、あまり親しくしている人がいないらしい。
クズ店長とのことがいろんな人に知られているらしく、ツインさんはあまり好かれていないのだと言っていた。
私はどうにも他人の心の機微について本当に鈍いので、わからない。
どうなのだろう。